ごあいさつ
 城崎温泉街の中心に位置するゆとうやは、外湯のひとつ「一の湯」を目の前に、どっしりとした門がみなさまをお迎えいたします。街の中心地とは思えないほどの静かさで詩情あふれるお宿です。

江戸・元禄元年(1688年)創業という歴史を感じる和風建築であるがゆえに、お客様のご要望に全てお応えすることが難しい部分もございます。しかしながら日本建築が見直されている現代においては、当館のたたずまいに昔を懐かしく思い出し、くつろぎと安らぎの時間を感じていただけることと思っております。ゆとうやは、古くから多くの文人墨客にご愛顧いただいたお宿であり、ゆかりの書・品などをみなさまにご覧いただけるようミニギャラリーにて展示しております。初めて目にされる方や外国人の方にも、歴史と合わせて少しでも興味を持っていただきたい気持ちです。

 二千坪の日本庭園は四季折々の顔を見せてくれます。雨に濡れた木々の緑、冬の雪景色などは裏山との一体感により一層美しく味わい深く感じられます。五棟ある全ての部屋がこの庭に面しており、ゆったり明るい「桂雲館」落ち着きある「雲生亭」「滴水楼」古風で少し懐かしい「扶老亭」とそれぞれに趣きがあります。城崎温泉の自然温泉を用いた庭園を望むお風呂もこころゆくまでお楽しみください。

 おもてなしのお料理は可能な限り「手造り」にこだわり、食材は「地産地消」。冬の味覚である松葉かには、代々伝わる自家製白味噌出汁仕立てでご用意いたします。月替わりの献立にも但馬ならではの、四季のお料理を楽しんでいただけます。
 志賀直哉の小説「城の崎にて」をはじめ、文人や歌人が多く訪れた湯の街、城崎温泉。
みなさまにも、城崎温泉ゆとうやで、お過ごしいただいたその時を心の内に残していただけることができましたら幸いです。
ゆとうやを訪れ、「吉井 勇」が詠んだ歌です。
『城崎の湯に浴むときは うつし世の愁いかなしみ すべてわする丶。』