油筒屋の歴史と文学のページへ戻る >> |
|
島崎 藤村 | 1872-1943 | ゆとうや文学シリーズ01 |
長野県、木曽路馬籠に生まれる。明治から昭和にかけての詩人、小説家。 初め浪漫主義の詩人として名をあらわしたが、次第に散文作家に転じ、「破壊」により自然主義作家の地位を確立した。晩年には大作「夜明け前」をのこしている。 |
藤村55才、大阪朝日新聞の依頼で、城崎温泉から島根県津和野まで旅行し、「山陰土産」という紀行文を連載した。 藤村が、二男の洋画家鶏二を伴って山陰の旅に出たのは、昭和2年7月のことである。 大阪から7時間の長い汽車にゆられ、汗まみれ疲れて城崎に着いたのである。藤村たちが城崎に着いて投宿したのは「ゆとうや」であった。大正14年の震災で消滅した城崎は、ちょうど再建の最中で、藤村はその槌音のひびく町を歩いて、復興の意気込みを「ゆとうや若主人(当館12代当主)」と語り合う。 藤村は、「復興最中の城崎に来て、激しい暑さと疲労を忘れさせるような楽しい温泉宿にたどり着いたという感じは深かった」とその印象を記している。 また、藤村は「ゆとうや若主人」の案内で、円山川に舟を浮かべ、日和山より初めて見る日本海に海の風の涼味を満喫し、その後、香住、大乗寺を経て、鳥取県岩見まで同行して旅を楽しんでいる。藤村は、更に鳥取から出雲路へと長い旅を続け、そうして書き上げたのが「山陰土産」である。 |
JR城崎温泉駅のすぐ前に、藤村碑はある。 昭和56年城崎町において「第8回島崎藤村研究会全国大会」が開催された。 これを記念して、同地にこの藤村碑が建立された。 碑文は、「山陰土産 一」よりの一節である。 「大阪より城崎へ 朝曇りのした空もまだすずしいうちに大阪の 宿を発ったのは、七月の八日であった。」 |
藤村記念館 |
企画展「島崎藤村 こころの旅」(2008年2月28日まで) 島崎藤村は旅を愛しました。 9歳で馬籠から上京した始めての旅から、フランス、東北から山陰まで、多くの旅をしています。今回は、それらの旅の中から今も残る藤村ゆかりの宿が紹介されています。 当館もゆかりの宿として紹介されています。 |